このたび、「第12回日本中性子捕捉療法学会学術大会」を2015年9月4日(金)・5日(土)に神戸学院大学ポートアイランドキャンパスにて開催させていただきます。本会の学術大会も今回で12回目を迎え、干支で申しますと一巡目の最後にあたります。そのような節目に大会長を仰せつかり大変光栄に存じます。諸先生方が成し得てこられたこれまでの学術大会と遜色のない実り多い大会にすべく重い責任を感じながら実行委員一同、準備を進めております。
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)には、大きく「中性子源」「適応症例の拡大」「ホウ素化合物」の3つの中核課題があります。中性子源については、従来の研究用原子炉から加速器への転換を目指し、臨床的実用化の検討が進められています。黎明期に悪性脳腫瘍や悪性黒色腫に対し優れた臨床治療成績を修めたBNCTは、今や頭頸部がん、胸部がん、消化器がん、さらには悪性肉腫等へとその適応対象の検討幅に広がりを見せつつあります。一方、ご存知のとおり、臨床研究に適用可能なホウ素化合物はBPAとBSHに限定されています。加速器の実用化や適応症例の拡大が進められる中、10Bに代表される中性子捕獲元素へより高い腫瘍特異的集積性と安全性を付与した新たな化合物やその送達システム作りが急務といえるでしょう。
そこで、今大会では「これからのBoron Delivery Systemを考える」をテーマに掲げました。この主題を議論するために、ホウ素化合物の研究開発の現状・将来や医薬品開発におけるレギュラトリ-サイエンスの実際についての特別講演を企画しています。また、BNCTの発展へつながるランチョンセミナーを企画しているほか、一般講演には口頭形式に加えてポスター形式を導入し、十分な議論を頂けるようなプログラム編成を計画しております。皆さまの活発な議論を期待しております。大会の前日には同会場にて第3回BNCT講習会の開催も予定されています。
会場となる神戸学院大学キャンパスは陸海空の交通アクセスが比較的至便なポートアイランドにあり、ここから眺める神戸ウォーターフロントの景色は六甲山の100万ドルの夜景に劣らず格別です。BNCTの議論の傍ら、お時間が許す限り、エキゾチックな雰囲気が漂うみなとまち神戸もご満喫いただければと思います。是非、多くの皆さまにご参加いただき、本大会が実りあるものになればと願っております。